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POMの特性を理解しよう!強度と耐薬品性がもたらす利点とは

「POM(ポリオキシメチレン)の強度や耐薬品性について詳しく知りたいけれど、情報がバラバラでどこから手をつければいいのかわからない…」そんなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。私たちは、POMの特性を徹底的に解説する「POM完全ガイド」を作成しました。

このガイドは、以下のような疑問をお持ちの方に最適です。

  • POMとは具体的にどのような素材なのか?
  • POMが持つ強度や耐薬品性とは何か?
  • これらの特性がもたらす利点とは?
  • POMを利用する際の注意点や活用方法は?

POMは、その優れた強度と耐薬品性から、さまざまな産業で広く使用されています。しかし、その特性を正しく理解し活用することで、さらなるメリットを得ることが可能です。今回は、POMの基本からその特性がもたらす具体的な利点まで、わかりやすく解説していきます。あなたの素材選びや製品開発に、ぜひ役立ててください。

1. POM強度耐薬品性特徴とは?

1-1. POMの基本特性

POM(ポリアセタール)は、高い剛性と耐衝撃性を併せ持つエンジニアリングプラスチックの一種です。優れた機械的強度に加え、低摩擦係数や優れた耐摩耗性も特徴的であり、産業機械の精密部品から日用品まで幅広く利用されています。結晶性が高いため、寸法安定性に優れ、温度変化や湿度の影響を受けにくいのもPOMの大きな利点です。

1-2. POMの化学的性質

POMは化学的に安定しており、多くの一般溶剤や油脂、燃料に対して耐性を示します。特に、酸やアルカリ、アルコールに対しても比較的耐久性が高く、耐薬品性に優れていることから、化学プラントの部品や自動車の燃料系統部品としても活用されています。ただし、強酸や強塩基、特定の溶剤には影響を受けることがあるため、使用環境の化学物質に応じた確認が必要です。


2. POM強度耐薬品性特徴に関するデータ

2-1. POMの強度に関する具体的な数値

POMの引張強度はおおよそ60〜70 MPa程度であり、同クラスのエンジニアリングプラスチックと比較しても優れた強度を誇ります。また、曲げ強度は90 MPa前後、耐衝撃性も良好で、衝撃吸収能力が高い点が評価されています。これらの特性は、機械的負荷がかかる部品の長期的な耐久性を支える重要な要素となります。

2-2. POMの耐薬品性の評価

各種化学物質に対するPOMの耐薬品性は、JISやASTM規格に基づく浸漬試験により評価されています。多くの有機溶剤や油脂類に対しては寸法変化が1%以下と低く、耐薬品性は非常に高い部類です。例えば、ガソリン、エンジンオイル、ケトン類などに対しても優れた耐性を示します。一方で、強酸(硫酸、塩酸)や強アルカリ(水酸化ナトリウムなど)には注意が必要で、長期間の接触は材料劣化を招く可能性があります。


3. POM強度耐薬品性特徴を活かした加工方法

3-1. POM樹脂の加工技術

POMは切削加工性が良好であり、旋盤やフライス盤を用いた精密加工に適しています。加工時には熱の発生に注意が必要ですが、適切な切削条件(送り速度、切削速度の調整)を守ることで高精度な仕上がりが可能です。射出成形にも適しており、複雑形状の大量生産にも対応できます。加工後の表面は滑らかで、耐摩耗性や耐薬品性を損なわずに製品の機能を最大限に発揮します。

3-2. 試作時の注意点

試作段階では、POMの熱膨張率や吸湿性の影響を考慮し、設計寸法に適切な公差を設けることが重要です。また、耐薬品性を考慮した材料グレードの選択や、加工による表面粗さの管理も製品性能に直結します。加工中の過熱を避けるために、冷却システムの導入や切削条件の最適化を行うことが長期的な品質安定に繋がります。これにより、POMの高い強度と耐薬品性を活かした信頼性の高い部品製造が可能となります。

4. POM強度耐薬品性特徴と他材料の比較

4-1. POMとMCナイロンの違い

POMとMCナイロンはともに高性能なエンジニアリングプラスチックですが、強度や耐薬品性においていくつかの顕著な違いがあります。POMは機械的強度が高く、特に耐摩耗性や低摩擦性に優れているため、精密機械部品や歯車、ベアリングなどの摩耗が激しい用途に適しています。一方、MCナイロンは吸湿性がやや高いものの、衝撃強度に優れ、耐衝撃性や耐疲労性を求められる環境での使用に向いています。また、MCナイロンは耐熱性や耐薬品性に関してはPOMよりも幅広い化学物質に耐える傾向がありますが、加工性はやや劣ります。

4-2. 材料選びのポイント

材料選定においては、使用環境の温度や薬品曝露の有無、機械的負荷の種類と大きさを総合的に判断することが重要です。POMは高い剛性と耐摩耗性を活かし、寸法安定性が求められる部品に最適ですが、強酸や強アルカリには弱いため、これらが使用環境に存在する場合は注意が必要です。MCナイロンは吸湿による寸法変化や強度低下を考慮しつつ、耐衝撃性が必要な用途で有利に働きます。したがって、性能だけでなく、加工コストや耐久期間も含めたトータルバランスで選択することが求められます。


5. POM強度耐薬品性特徴の長所・短所

5-1. POMの利点

POMは高い機械的強度と剛性を持ち、摩擦係数が低いため摩耗に強く、長期間の使用に耐えられます。さらに、耐薬品性に優れているため多くの油脂や有機溶剤に対して安定した性能を維持できる点も大きな強みです。加えて、寸法安定性に優れ、加工性が良いことから、精密部品の製造に適しています。これらの利点により、自動車部品や機械部品、電子機器部品など幅広い分野で重宝されています。

5-2. POMの欠点

一方で、POMは強酸や強アルカリに対しては耐性が劣るため、これらの環境では劣化が進みやすいという欠点があります。また、吸湿性は比較的低いものの、完全に無視できるわけではなく、湿度や水分の影響で寸法変化が生じることがあります。さらに、耐熱温度は約100℃程度と限られているため、高温環境下での長時間使用には適さない場合があります。これらの短所を理解し、適切な使用環境と設計を行うことが重要です。

まとめ

POM(ポリオキシメチレン)は、高い強度と優れた耐薬品性を持つエンジニアリングプラスチックです。これにより、機械部品や自動車部品、電子機器など多様な用途に利用されています。耐摩耗性や低摩擦特性も兼ね備え、長寿命と信頼性を提供するため、産業界での需要が高まっています。