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耐熱性に優れたPOM樹脂の加工方法完全ガイド

「高温環境下でも優れた性能を発揮する樹脂を探しているけれど、具体的な加工方法がわからない……」そんなお悩みを抱えていませんか?このガイドでは、耐熱性に優れたPOM樹脂の加工方法について、詳しく解説していきます。

POM(ポリオキシメチレン)は、その高温耐性と機械的強度から、多くの産業で利用されている重要な材料です。しかし、こうした高機能な素材を効果的に活用するためには、正しい加工方法を知ることが不可欠です。この記事は、POM樹脂の基本的な特性やその加工技術、さらに具体的な手法について知りたい方に向けた完全ガイドとなっています。

高温耐性を持つPOM樹脂を使ったプロジェクトを成功させるためには、まずその特性を理解し、適切な加工方法を習得することが大切です。これから、POM樹脂の魅力や加工のポイントを一緒に探っていきましょう。あなたの新しいものづくりにお役立ていただければ幸いです。

1. POM 高温耐性 樹脂加工の基本知識

1-1. POM樹脂とは何か

POM(ポリアセタール樹脂)は、高い結晶性を持つエンジニアリングプラスチックの一種で、耐摩耗性や剛性に優れているのが特徴です。主に機械部品や精密機器の部品として利用されることが多く、その耐熱性や耐薬品性も評価されています。POMは結晶構造が緻密であるため、強度と寸法安定性に優れており、長期使用に耐えうる材料として重宝されています。


1-2. POM樹脂の特性と用途

POMは高い耐摩耗性と低摩擦係数を兼ね備え、摺動部品に最適です。また、耐熱性・耐薬品性もあり、自動車部品や電気・電子機器の構造部品、日用品の可動部品として広く利用されています。さらに、成形加工が容易で寸法精度も高いため、精密加工が必要な用途にも適しています。近年では、耐熱性向上を図った新グレードも開発され、より高温環境での利用が可能になっています。


2. POM 高温耐性 樹脂加工の耐熱温度

2-1. POM樹脂の耐熱温度の具体的な数値

一般的なPOMの耐熱温度は約80〜100℃程度で、これを超える環境下では物理的特性の劣化が起こりやすくなります。ただし、高耐熱グレードのPOMでは、120〜140℃の連続使用が可能なものもあり、これにより従来の使用範囲を拡大しています。耐熱試験では、一定時間高温に曝露した後の機械的強度や寸法変化が評価され、使用温度の限界を決定しています。


2-2. 温度別の適用範囲

POMの適用範囲は使用温度によって大きく変わります。一般的なグレードは室温から80℃までの環境に適しており、自動車の内装部品や家電製品の部品などで多く使われます。一方、高耐熱グレードは90〜140℃の環境に耐えうるため、エンジンルーム周辺の機械部品や産業機械の高温部品としての活用が増えています。ただし、140℃を超える高温環境ではPOMよりもPEEKやポリイミドなど、より耐熱性の高い樹脂が推奨されます。

3. POM 高温耐性 樹脂加工の加工方法

3-1. POM樹脂の加工技術

POM樹脂は熱可塑性樹脂のため、射出成形や押出成形などの一般的な樹脂加工技術で成形可能です。高精度の加工が求められる場合は、切削加工や旋盤加工、フライス加工などの機械加工が多用されます。特にPOMの結晶性が高く剛性が強いため、切削時には安定した加工が可能で、加工面の仕上がりが良好となる特徴があります。また、加工中の熱影響を考慮し、適切な切削速度や冷却方法を採用することが品質維持に重要です。


3-2. 加工時の注意点

POMの加工では、加熱による熱変形や溶け過ぎを防ぐため、加工温度管理が不可欠です。切削加工時は過熱によって表面が融けたり、バリが生じることがあるため、冷却液の使用や切削条件の最適化が求められます。また、POMは吸湿性が低いですが、加工前の乾燥処理を怠ると寸法精度のばらつきや機械的特性の低下を招くことがあります。さらに、高温耐性グレードの場合でも過度な熱負荷は避け、材料の特性に合った加工条件を設定することが重要です。


4. POM 高温耐性 樹脂加工の長所と短所

4-1. POM樹脂の長所

POMは高い剛性と耐摩耗性を備え、寸法安定性が良いため、精密部品に適しています。また、低摩擦係数により摺動部品としての性能も優秀で、耐薬品性や耐疲労性も高いことが特徴です。耐熱性の高いグレードは、従来の使用温度範囲を超えても性能を維持できるため、より過酷な環境下での部品設計に対応可能です。加工性にも優れており、成形や切削加工が比較的容易に行える点もメリットと言えます。


4-2. POM樹脂の短所

一方で、POMは耐熱限界が他の高耐熱樹脂に比べて低いため、150℃以上の環境では劣化が進みやすいです。また、紫外線や強酸・強アルカリには弱く、特定の薬品に長時間曝露すると物性が損なわれる恐れがあります。さらに、加工時の熱管理を誤ると変形や表面不良が起こりやすいため、取り扱いに慎重さが求められます。耐衝撃性は金属に劣るため、過大な衝撃を受ける用途には適していません。

まとめ

耐熱性に優れたPOM樹脂の加工方法には、切削、成形、溶接などがあります。これらの手法は、POMの特性を活かし、精密部品の製造に適しています。適切な温度管理や工具選定が重要で、加工後の仕上げも品質向上に寄与します。