エンジニアリングプラスチックの耐熱温度を完全理解する|素材選定と用途別ガイド
機械部品や電子部品、自動車部品などに使用されるエンジニアリングプラスチックは、高性能材料として耐熱性、耐摩耗性、寸法安定性に優れています。しかし、耐熱温度は素材ごとに大きく異なるため、使用条件に応じた正しい選定が製品の寿命や性能に直結します。本記事では、代表的なプラスチックの耐熱温度を一覧化し、用途別の選定ポイントや加工時の注意点まで徹底解説します。
Contents
エンジニアリングプラスチックとは
エンジニアリングプラスチックは汎用プラスチックと比較して、以下の特性が向上しています。
- 耐熱性:高温環境下でも性能を維持
- 耐摩耗性:摩擦や衝撃に強く長寿命
- 寸法安定性:熱や湿度による変形が少ない
- 耐薬品性:化学薬品への耐性がある
- 加工性:切削や成形が可能
種類によって耐熱温度や加工特性が異なるため、用途に応じた選定が欠かせません。
主要エンジニアリングプラスチックの耐熱温度一覧
代表的なエンジニアリングプラスチックの耐熱温度と用途を以下に整理しました。用途に応じた比較が可能です。
| 種類 | 略号 | 耐熱温度 | 特性 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| ポリアセタール | POM | 100〜120℃ | 高強度、耐摩耗性、寸法安定性 | ギア、軸受、精密部品 |
| ポリアミド(ナイロン) | PA6/PA66 | 80〜120℃ | 耐摩耗性、耐薬品性、衝撃強度 | 歯車、ベアリング、機械部品 |
| ポリカーボネート | PC | 115〜130℃ | 透明性、耐衝撃性、耐熱性 | 光学部品、電子機器カバー |
| ポリエーテルエーテルケトン | PEEK | 250℃以上 | 耐高温、耐薬品性、摩耗耐性 | 航空機部品、医療機器、精密機械 |
| ポリフェニレンサルファイド | PPS | 200〜260℃ | 耐熱性、耐薬品性、寸法安定性 | 電子部品、化学機器 |
| ポリフェニレンオキサイド | PPO | 160〜180℃ | 耐熱性、寸法安定性、電気絶縁性 | 電気部品、機械構造材 |
耐熱温度別の素材選定ポイント
耐熱温度は素材選定の基準の一つです。下記のポイントを押さえることで、設計失敗を防ぎます。
- 高温(200℃以上):PEEKやPPSは耐熱性が極めて高く、航空機や化学機器に適しています。高性能プラスチックの特性に関して解説しています。
- 中温(100〜200℃):POMやPCは100〜130℃で安定し、機械部品や電子機器カバーに最適です。
- 低〜中温(80〜120℃):ナイロンは吸湿による寸法変化に注意が必要ですが、摩耗強度と耐薬品性が高いためベアリングや歯車に使用されます。
- 電子部品用途:PPOやPCは耐熱性と電気絶縁性を兼ね備え、電子機器内部部品で安心して使用可能です。
加工性と耐熱温度の関係
耐熱温度の差は加工性にも影響します。各プラスチックの加工ポイントを整理しました。
- POM:切削性が良く、潤滑剤を併用すると摩擦低減が可能。熱による変形は少ない。
- ナイロン(PA6/PA66):吸湿で寸法変化があるため、乾燥処理や添加剤の配合が重要です。
- PC:熱成形や切削が可能ですが、熱変形に注意。透明部品では光学精度も考慮。
- PEEK・PPS・PPO:高温加工が必要で、成形時の収縮や寸法変化を考慮した設計が必要です。
用途別耐熱温度活用例
実際の使用条件ごとに適切な素材を選ぶことで部品寿命を延ばせます。以下のような分類が参考になります。
| 用途 | 推奨素材 | 耐熱温度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 航空機・高負荷機械 | PEEK、PPS | 250℃以上 | 高温耐性、耐薬品性、摩耗耐性 |
| 電子機器カバー・光学部品 | PC、PPO | 115〜180℃ | 耐衝撃性、耐熱性、透明性 |
| 歯車・ベアリング | POM、ナイロン | 80〜120℃ | 耐摩耗性、衝撃強度、寸法安定性 |
| 医療機器部品 | PEEK、PPS | 200〜250℃ | 耐熱性、耐薬品性、長期使用可能 |
耐熱温度と寿命の関係
耐熱温度を超える条件で使用すると、材料の変形や強度低下が発生します。部品設計時には以下を考慮してください。
- 連続使用温度とピーク温度の差を確認する
- 高温環境での長期使用に耐える素材を選定する
- 加工条件や成形収縮による寸法変化を補正する
よくある質問
エンジニアリングプラスチックの耐熱温度は素材ごとにどのくらい違いますか?
エンジニアリングプラスチックの耐熱温度は素材によって大きく異なります。POMは100〜120℃、ナイロン(PA6/PA66)は80〜120℃、PCは115〜130℃、PPOは160〜180℃、PPSは200〜260℃、PEEKは250℃以上に耐えることが可能です。用途や使用環境に応じて適切な素材を選ぶことが重要です。
耐熱温度が高い素材を選ぶと加工性に影響はありますか?
耐熱温度が高い素材は加工性に影響があります。PEEKやPPS、PPOなどの高温耐性プラスチックは成形時に高温が必要で、収縮や寸法変化を考慮した設計が重要です。一方、POMやナイロン、PCは比較的低温で加工でき、切削性や熱成形性が良好ですが、熱変形や吸湿による寸法変化に注意する必要があります。
電子機器や光学部品に適した耐熱温度の素材はどれですか?
電子機器や光学部品では、耐熱性と電気絶縁性、透明性が求められます。PCは115〜130℃で透明性と耐衝撃性に優れ、PPOは160〜180℃で耐熱性と寸法安定性に優れます。これらの素材を選ぶことで電子機器内部部品や光学部品で安定した性能を維持できます。
耐熱温度の違いは部品寿命にどのように影響しますか?
耐熱温度を超える条件で使用すると、部品は変形や強度低下を起こし寿命が短くなります。連続使用温度やピーク温度に応じて素材を選び、加工条件や成形収縮による寸法変化も補正することで、長期使用可能な部品設計が可能になります。
まとめ
エンジニアリングプラスチックの耐熱温度は種類によって大きく異なり、用途や使用環境に合わせた選定が製品の性能と寿命を左右します。本記事では代表的なプラスチックの耐熱温度、用途別推奨素材、加工上の注意点まで徹底解説しました。各素材の耐熱温度と特性を比較することで、失敗のない最適な素材選定が可能です。