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POMとは|特徴・種類・加工方法までわかる樹脂材料ガイド

POM(ポリアセタール)は、工業部品や機械部品で広く使用される高性能樹脂です。しかし、「POMって何?」「どんな特徴があるの?」「加工はどうすれば良いの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、POMの基本知識から種類、特徴、加工方法、使用上の注意点まで詳しく解説し、樹脂選定や加工を検討しているエンジニア・設計者に役立つ情報をまとめています。


1. POMの基本知識・定義

1-1. POMとは何か

POM(Polyoxymethylene、ポリアセタール)は、高結晶性の熱可塑性樹脂で、強度や剛性が高く、摩耗や疲労に強いという特徴があります。
機械部品や歯車、ベアリング、プーリーなど、耐久性が求められる部品に多く用いられています。

文章で補足すると、POMは「金属の代替材料としても使えるほど強度が高く、かつ摩擦係数が低い樹脂」であるため、部品寿命の延長やメンテナンス軽減に役立ちます。

  • 主な特徴
  • 自潤滑性があり摩擦が少ないため、摺動部品に適する
  • 高剛性・高強度で寸法安定性が高い
  • 化学薬品や水分に強く、耐水性・耐薬品性に優れる

1-2. POMの歴史と用途

POMは1950年代にデュポン社が開発され、耐久性・加工性の高さから、さまざまな産業で使用されています。

  • 代表的な用途
  • 自動車部品:ドアロック、ギアシフト部品
  • 精密機械:プリンタ部品、カム部品
  • 産業機械:歯車、プーリー、ベアリング、ファスナー

文章で補足すると、POMは「耐摩耗性と寸法安定性が高いため、精密機械や長期使用部品に最適」です。


2. POMの特徴・メリット・デメリット

POMを選ぶ際には、強みと弱みを理解することが重要です。ここでは、加工や使用におけるメリット・デメリットを詳しく見ていきます。

2-1. メリット

文章で補足すると、POMの強みは「摩擦に強く、精密部品の安定動作を実現できること」です。

  • 高強度・高剛性で耐荷重性が高い
  • 低摩擦・耐摩耗性がある
  • 寸法安定性が良く、反りや変形が少ない
  • 耐薬品性・耐水性に優れる
  • 加工性が良く、旋盤やフライス加工が可能

2-2. デメリット

一方で、POMには以下の制限もあります。

  • 紫外線(UV)に弱く、屋外長期使用には不向き
  • 高温には弱く、熱変形や劣化が起こる場合あり
  • 染色・塗装が難しい
  • 強酸・強アルカリへの耐性は限定的

文章で補足すると、「屋外や高温環境で使用する場合は、UVカバーや塗装などの保護が必要」です。


3. POMの種類・分類

POMには用途や加工条件に応じた種類があります。どの種類を選ぶかで耐久性や加工性が大きく変わります

3-1. ホモポリマーとコポリマー

  • ホモポリマー(H-POM)
    • 高結晶性で剛性・強度が高く、精密部品向き
    • 寸法安定性が高く、切削加工後も精度が保持されやすい
  • コポリマー(C-POM)
    • 衝撃に強く、低温下でも割れにくい
    • 加工性や耐薬品性が向上

文章で補足すると、「精密部品や高剛性が求められる場合はホモポリマー、衝撃吸収や耐薬品性重視ならコポリマー」が目安です。

3-2. その他の分類

  • 充填材入りPOM
    • ガラス繊維入り:剛性・耐熱性向上
    • 摩擦改良材入り:摩耗耐性向上
  • 押出・射出成形用
    • 成形方法に応じて種類を選定する必要あり

3-3. 性能比較表

種類引張強度(MPa)耐摩耗性耐薬品性加工性
ホモポリマー60~70
コポリマー50~60非常に良
ガラス繊維入り80~90やや低

文章で補足すると、表を参考に「加工性重視か、耐摩耗・剛性重視か」で選択すると良いです。


4. POMの選び方・使用上の注意点

POMを安全かつ効果的に使用するためには、条件に応じた選定と加工上の注意が必要です。

4-1. 選定のポイント

  1. 使用温度
    • 高温環境 → コポリマーが安定
  2. 機械的要求
    • 高剛性・精密 → ホモポリマー
    • 衝撃吸収 → コポリマー
  3. 摩耗・潤滑性
    • 摩擦が大きい部品 → 摩擦改良材入り
  4. 耐薬品性
    • 化学薬品環境 → コポリマーや特殊充填材入り

文章で補足すると、「部品の使用条件や荷重・摩耗状況を把握して種類を選ぶと、製品寿命を大幅に延ばせます」。

4-2. 使用上の注意点

  • 高温加熱や溶接加工は避ける
  • UVによる劣化を防ぐため、屋外使用はカバーや塗装を推奨
  • 乾燥状態で保管し、水分吸収を抑える
  • 旋盤・フライス加工時は切削速度・送り速度を最適化

文章で補足すると、「加工条件や保管環境に注意することで、POM部品の性能を最大限に引き出せます」。


5. POMの加工事例・具体例

加工現場での事例を確認することで、どの種類のPOMがどの用途に向くかが具体的に理解できます。

5-1. 旋盤・フライス加工

  • 歯車加工:外径精度±0.02mm、摩耗耐性向上
  • プーリー加工:摩擦係数低減で動作音低減
  • ファスナー部品:軽量で高強度

文章で補足すると、「旋盤やフライス加工で精密加工を行うことで、POMの寸法安定性や摩擦低減効果を最大限に活かせます」。

5-2. 導入事例

  • 自動車部品:ドアロック、ギアシフト部品
  • 精密機械:プリンタ部品、カム部品
  • 産業機械:ベアリング、プーリー、スライド部品

文章で補足すると、「使用環境や荷重条件に合わせた種類選定と加工が、長期的な性能維持に直結します」。


6. よくある質問(FAQ)

Q1. POMとABSの違いは?
→ POMは高剛性・耐摩耗性が高く、精密機械部品向き。ABSは衝撃吸収性に優れるが摩耗耐性は低め。

Q2. POMはどの加工方法が向いている?
→ 旋盤・フライス加工、穴加工、ギア切削が可能。射出成形にも対応。

Q3. 屋外使用は可能か?
→ UV劣化するため、カバーや塗装が推奨される。