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旋盤 面取り|基礎から種類・方法・注意点まで徹底解説

旋盤加工の中でも「面取り」は、製品の仕上げや組み立て精度に大きく関わる重要な工程です。検索キーワード「旋盤 面取り」で訪れる方は、面取りの基本的な意味や方法、刃物の種類、注意点、加工精度の目安などを知りたいと考えているはずです。
この記事では、旋盤での面取り加工について、初心者から設計者・現場エンジニアまで役立つ情報を整理して解説します。


1. 旋盤面取りの基本知識・定義

旋盤面取りとは

旋盤面取りとは、円筒形や穴の角にR(半径)や面(フラット)をつける加工を指します。
金属部品のバリ取りや組み付けのしやすさ、美観向上、応力集中の防止などを目的として行われます。

  • 目的
    • バリの除去
    • 部品の組み立てやすさ向上
    • 応力集中や破損防止
    • 美観・仕上げ向上
    • 製品寿命延長
  • 対象部品
    • シャフト端面
    • ナット・ボルト穴
    • フランジ端面
    • 機械部品の角
    • 小型精密部品や試作品

面取りとバリ取りの違い

項目面取りバリ取り
加工形状Rや平面を形成材料端の突起や余分な部分を除去
目的寸法精度と仕上げ安全性・組付けやすさ
使用機械旋盤・フライス・専用工具手作業、グラインダー
精度±0.05〜0.1mm±0.1〜0.2mm程度
再現性高い手作業は低い

2. 旋盤面取りの特徴・メリット・デメリット

特徴

  • 旋盤加工の一環として効率的に実施可能
  • 切削速度や刃物角度で仕上がり精度が変わる
  • 外径・内径どちらにも対応可能
  • 小径穴や深穴でも工夫次第で対応可能

メリット

  • 部品の組み立て精度向上
  • 応力集中防止により破損リスク軽減
  • 安全性向上:鋭利な角を削ることで怪我防止
  • 美観向上:部品の見た目が整う
  • 再現性向上:NC/CNC旋盤使用で高精度面取りが可能

デメリット

  • 刃物や条件を誤ると寸法誤差発生
  • 材料硬度や形状によって加工難易度が変化
  • 過度なR加工で強度低下の可能性
  • 小径・深穴加工では刃物アクセス制限

数値・規格の目安

  • 外径面取り:0.5〜3mm程度(材質や用途による)
  • 内径面取り:1〜2mm Rが一般的
  • 面取り角度:15〜45°(設計条件による)
  • 切削条件例
  • 切削速度:50〜150 m/min(鋼材)
  • 送り速度:0.05〜0.2 mm/rev
  • 切込み量:0.1〜0.5 mm

3. 旋盤面取りの種類・分類

3-1. 加工対象による分類

  1. 外径面取り
  • シャフト端面やフランジ外周の角を削る
  • 組付けやすさ・安全性向上が目的
  1. 内径面取り
  • ボアや穴の内側角をRにする加工
  • 部品挿入やボルト通しをスムーズにする
  1. テーパー面取り
  • 斜めの面を形成
  • 部品の嵌合や応力分散に有効
  1. 小径・深穴面取り
  • 精密部品や小型機械部品に適用
  • 専用バイトや延長ホルダー使用

3-2. 使用する刃物の種類

刃物種類特徴用途
HSSバイト高速度鋼、汎用性が高い小物・試作
超硬バイト耐摩耗性が高い長寿命加工、硬材
面取り専用バイト角度・Rが固定されている繰返し加工、高精度
コーナーR用バイト小径Rや精密加工向き精密機械部品

3-3. 旋盤以外の面取り方法

  • フライス加工:平面・斜面加工に適す
  • グラインダー・ベルトサンダー:小物や手作業向き
  • カウンターシンク:穴面取り専用工具

4. 旋盤面取りの選び方・使用上の注意点

選び方

  • 部品の形状と寸法
  • 必要な面取り角度とRの大きさ
  • 材質に応じた刃物材質
  • 生産量に応じた汎用旋盤かNC/CNC旋盤か
  • 精度要求に応じて切削条件や刃物タイプを選定

使用上の注意点

  1. 刃物角度・切込み深さの適正化
  2. 回転速度・送り速度の最適化
  3. 内径面取り時は切削液使用で仕上がり向上
  4. 過度な面取りでの強度低下防止
  5. 小径・深穴加工は刃物アクセスに注意
  6. 安全管理:手指巻き込み、切りくず防止
  7. 定期的な刃物交換で精度維持

5. よくある質問(FAQ)

Q1. 旋盤面取りの精度はどのくらいですか?
→ ±0.05〜0.1mm程度が一般的で、刃物や旋盤の精度で変化します。

Q2. 面取り角度はどう決める?
→ 部品設計や組付け条件に応じて15〜45°が一般的です。

Q3. 内径面取りは外径より難しい?
→ 小径穴や深穴では刃物アクセスが制限されるため、外径より難易度が高いです。

Q4. CNC旋盤で自動化は可能ですか?
→ CAD/CAMでプログラムを作成することで、高精度かつ再現性の高い面取り加工が可能です。


6. まとめ・次のステップ

  • 旋盤面取りは角を削る加工で、安全性・組付けやすさ・美観向上に効果的
  • 加工方法や刃物選定、切削条件の最適化で精度と効率を向上
  • 外径・内径・テーパー・小径深穴など用途に応じて適切に選定
  • NC/CNC旋盤を活用することで高精度かつ再現性の高い面取り加工が可能