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旋盤 潤滑油 種類|性能・選び方・使用上の注意点まで徹底解説

旋盤加工では、潤滑油の選定が加工精度や工具寿命に直結します。
「どの種類の油が適しているのか」「切削性や冷却性に優れた油の選び方は?」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、旋盤用潤滑油の基本知識から種類・性能・選定基準、使用上の注意点までを網羅し、加工現場で役立つ情報をわかりやすく解説します。


1. 旋盤用潤滑油の基本知識・定義

1-1. 旋盤潤滑油とは

旋盤潤滑油とは、工具とワークの間で摩擦を低減し、加工効率や表面精度を向上させるための油です。
単なる潤滑だけでなく、加工全体にさまざまな影響を与えます。

  • 切削熱の除去(冷却作用)
  • 工具摩耗の抑制
  • 錆防止や機械部品保護
  • 加工時のバリや削りカスの排除

文章補足:「適切な潤滑油を使うことで加工精度が安定し、工具交換の頻度も減らせます」。

1-2. 潤滑油の役割

旋盤加工では、切削性能向上と工具寿命延長が最重要課題です。
油の種類や特性により、加工精度や作業効率は大きく変化します。
文章補足:「加工条件や材料に合わせた油選びが、製品品質の安定につながります」。


2. 旋盤潤滑油の特徴・メリット・デメリット

2-1. 特徴

  • 切削面の温度上昇を抑制し、変形や摩耗を防ぐ
  • 油膜による滑り効果で加工力を低減
  • 金属の酸化や腐食を防止

2-2. メリット

  • 加工精度向上:寸法精度が安定
  • 工具寿命延長:摩耗を抑制
  • 作業効率向上:切削抵抗が減少し加工速度アップ

文章補足:「潤滑油の正しい使用は、作業効率だけでなく安全性向上にも寄与します」。

2-3. デメリット

  • 油の管理が必要(劣化や汚れによる性能低下)
  • 皮膚や環境への影響がある場合がある
  • 不適切な油を使うと加工不良や工具損傷の原因に

文章補足:「適切な管理と種類選定が不可欠で、油の扱い方が加工の品質に直結します」。


3. 旋盤潤滑油の種類・分類

3-1. 油性の分類

旋盤用潤滑油は主に3種類です。

  1. 切削油(ソリュブルオイル)
    • 水で希釈して使用
    • 冷却性が高く、熱による加工変形を抑制
    • 金属除去量の多い荒加工に適する
  2. 全油性切削油(ソリッドオイル)
    • 原液で使用
    • 潤滑性が高く摩耗抑制に優れる
    • 仕上げ加工や精密加工に最適
  3. 合成切削液
    • 合成化学物質を基にした潤滑液
    • 錆防止性能や泡立ち抑制に優れる
    • 作業環境への負荷が少ない製品もある

文章補足:「加工の種類や環境に応じて油を選ぶことで、加工精度と作業効率が最適化されます」。

3-2. 粘度による分類

  • 低粘度油:流動性が高く冷却性重視の加工に適する
  • 高粘度油:油膜が厚く、摩耗抑制や仕上げ加工に向く

3-3. 添加剤による分類

  • 極圧(EP)添加剤入り:高荷重加工や硬度の高い材料加工に有効
  • 防錆剤入り:長時間加工や保管時の錆防止に有効

文章補足:「加工条件や材料特性に応じて添加剤を選定することで、工具寿命や製品品質をさらに向上できます」。


4. 旋盤潤滑油の選び方・使用上の注意点

4-1. 選定ポイント

  1. 加工材料
    • 鋼材、アルミ、ステンレスなど材料に応じて選ぶ
  2. 加工方法
    • 荒削り:冷却性重視の切削油
    • 仕上げ:潤滑性重視の全油性や合成油
  3. 加工条件
    • 高速加工:油膜保持や熱対策を重視
    • 高荷重加工:EP添加剤入りが有効

文章補足:「加工対象や条件を事前に把握することで、最適な油選定が可能です」。

4-2. 使用上の注意点

  • 油の希釈倍率や濃度を守る
  • 使用後は汚れや削りカスを除去
  • 長時間作業時は皮膚保護や換気を行う
  • 定期的な油の交換で劣化防止

文章補足:「油管理を怠ると加工不良や工具損傷、作業環境の悪化につながるため注意が必要です」。


5. 旋盤潤滑油の導入事例・具体例

5-1. 自動車部品加工

  • シャフトやギアの大量生産で切削油を使用
  • EP添加剤入り油で工具寿命延長、加工精度を安定化

5-2. 精密機械部品加工

  • カメラ部品やプリンタローラーの仕上げ加工に全油性油を使用
  • 表面粗さRa 0.2μm以下の高精度加工を実現

5-3. 試作・小ロット加工

  • 合成切削液で作業環境改善
  • 材料の種類が多い場合でも汎用性高く対応可能

文章補足:「事例を見れば、潤滑油の選定が加工精度や作業効率に直結することが理解できます」。


6. よくある質問(FAQ)

Q1. 水溶性と油性、どちらを選ぶべきですか?
→ 荒削りや大量加工なら水溶性、精密加工や仕上げには油性や合成油が適します。

Q2. 潤滑油の交換頻度は?
→ 加工量や使用環境により変わりますが、一般的には2〜4週間に1回の定期交換が推奨されます。

Q3. EP添加剤入り油はどのような加工に向きますか?
→ 高荷重や硬度の高い金属の切削、ねじ切り加工などに最適です。