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旋削とは|基本から種類・メリット・注意点まで徹底解説

金属加工や機械加工に関心がある方にとって、「旋削」という言葉は頻繁に目にする用語です。しかし、実際に旋削がどのような加工方法なのか、何が特徴でどのように使い分けるのかは意外と知られていません。本記事では、「旋削 とは」という検索意図に応え、初心者からエンジニアまで理解できるように基礎知識、加工方法、種類、メリット・デメリット、事例、FAQまでを整理して解説します。


1. 旋削の基本知識・定義

旋削とは

旋削とは、旋盤と呼ばれる工作機械を使って材料を回転させ、刃物で切削する加工方法のことです。
主に金属や樹脂、木材などの円筒状や円盤状の部品加工に用いられます。

  • 基本原理:材料を回転させ、刃物を固定または移動させて切削
  • 対象物:シャフト、ボルト、パイプ、フランジなど
  • 加工例:外径加工、内径加工、ねじ切り、テーパ加工

旋削とフライス加工の違い

項目旋削フライス加工
材料の動き回転固定
刃物の動き移動回転
主な用途円筒・円盤形状平面・溝・複雑形状
精度高精度高精度だが円形加工には不向き

歴史的背景

  • 手動旋盤からNC旋盤、CNC旋盤へ進化
  • 高精度かつ自動化が可能になり、多品種・少量生産にも対応

2. 旋削加工の特徴・メリット・デメリット

特徴

  • 材料を回転させるため、円筒形や円盤形状の加工に最適
  • 切削抵抗が安定しており、高精度加工が可能
  • 刃物の形状や切削条件により、多彩な加工が可能

メリット

  • 高精度:寸法公差±0.01mm程度まで対応可能
  • 加工速度が速い:特に外径加工や長尺物で有利
  • 多様な加工が可能:外径・内径・ねじ切り・テーパ加工

デメリット

  • 材料形状は回転形状に限定
  • 複雑形状や平面加工には不向き
  • 刃物の摩耗や材料硬度で精度が影響される

数値・規格例

  • 外径切削精度:±0.01〜0.02mm
  • 内径加工精度:±0.02〜0.05mm
  • 回転速度:200〜3000rpm(材質・径による)
  • 送り速度:0.05〜0.5mm/rev

3. 旋削加工の種類・分類

3-1. 加工方法による分類

  • 外径旋削:材料の外周を削り寸法を整える
  • 内径旋削:穴の内側を加工する
  • 端面旋削:材料の端面を平らに加工
  • ねじ切り加工:シャフトなどにねじ山を切る
  • テーパ加工:円筒に角度をつけた形状に加工

3-2. 使用する旋盤の種類

旋盤種類特徴用途例
汎用旋盤手動操作、単純加工試作、少量加工
NC旋盤数値制御で自動加工量産品の精密加工
CNC旋盤コンピュータ制御、複雑加工可能多品種・高精度量産

3-3. 刃物の種類

  • バイト:外径・内径・端面の削り加工
  • ねじ切り用刃物:ねじ山加工専用
  • テーパ用刃物:角度付き加工
  • 材質例:高速度鋼(HSS)、超硬チップ(Carbide)

4. 旋削加工の選び方・使用上の注意点

選び方

  1. 加工形状:円筒・円盤形状 → 旋削加工が最適
  2. 精度要求:高精度加工 → CNC旋盤が有利
  3. 生産量:単品・少量 → 汎用旋盤、多品種・量産 → NC/CNC旋盤

使用上の注意点

  • 切削条件の最適化(回転速度・送り速度・切込み深さ)
  • 刃物摩耗による寸法変化の管理
  • 安全管理:回転部への巻き込み防止、切りくず除去
  • 冷却・潤滑管理:切削油や冷却水で熱変形を防ぐ

5. 導入事例・具体例

自動車部品

  • シャフト、ピストン、ギア軸の外径・内径加工
  • CNC旋盤で多品種少量生産に対応

機械装置部品

  • 歯車、フランジ、回転軸など
  • NC旋盤で安定した寸法精度を確保

試作・研究用途

  • 汎用旋盤で試作品の簡易加工
  • 高速回転で短時間に形状確認

6. よくある質問(FAQ)

Q1. 旋削とフライス加工はどう使い分ける?
→ 円筒や円盤形状 → 旋削加工、平面・溝加工 → フライス加工。

Q2. 旋削加工の精度はどのくらい?
→ ±0.01〜0.05mm程度、材料や刃物による。

Q3. 初心者でも旋削加工はできる?
→ 汎用旋盤で簡単な外径加工は可能。複雑形状や高精度は習熟が必要。

Q4. CNC旋盤は旋削加工を自動化できる?
→ CAD/CAMでプログラムを作成し、複雑形状の再現性も高い。


7. まとめ・次のステップ

  • 旋削加工は回転する材料を刃物で削る加工方法
  • 円筒・円盤形状の高精度加工に適しており、多彩な加工が可能
  • 選定は加工形状・精度・生産量・設備種類を総合判断
  • CNC旋盤やNC旋盤を活用することで自動化・再現性向上が可能